新版 『ムーミンパパ海へいく』

小さな図書館、はじめて読む
ムーミン小説 第5巻

新版 『ムーミンパパ海へいく』

(おかしいわ。くらしがうまくいきすぎるからといって、かなしんだり、
まして腹を立てるなんて、おかしいわ。だけど、そうなんだからしかたないわね。
かんじんなことはただ一つ、視点を変えてやり直すことね。)

ムーミン谷でのおだやかな暮らしに飽き足らなくなったムーミンパパは、
生きる手応えを求め、ムーミン谷から遠く離れた、
大きな灯台がそびえ立つ島に家族を連れて移住します。
でも、新天地での生活はパパはもちろん、誰もが思い通りにならないことばかり。
むきだしの自然の中で、それぞれが自分と向き合い、
相手とすれ違う試行錯誤の日々を重ね、手にしたものとは…。

この物語の原題は『パパと海』といいますが、
パパに振り回されつつ自分自身を見つめ直すママや、
思春期を迎えたムーミントロールの心の動きも深く、切なく描かれています。
また、そんな中でも揺るぎないミイや、島にさえも恐れられるモラン、
そして謎めいた漁師の物語でもあります。
自分や相手への思い込みが解かれたとき、
それまで当たり前と思っていた世界はどんな風に見えてくるでしょうか。
シリーズの中でも一番の長編です。
ご自身のペースでじっくりと読み進めてみてください。
きっとまた、ふと読み返したくなる一冊になることでしょう。畑中麻紀(新版ムーミン全集 翻訳編集)
『ムーミンパパ海へ行く』あらすじはこちら

新版 『ムーミンパパ海へいく』感想文集

この度は素敵な本をありがとうございます。
物語の始まりから衝撃でした
ムーミンパパの突然の思いつきに住み慣れた家を離れ家族全員で着いていくのにとても驚き、
島でそれぞれがそれぞれの方法で順応していくのにまた驚きました。
ムーミンパパの感情の起伏の激しさに皆嫌々といった風でなく、上手いことやり過ごしているのが印象的でした。
とくに、ムーミンママは、パパがこう思っているだろうからこうしたら喜ぶだろう、
とよくわかっているのが素敵だなと思いました。
ムーミンが空き地に行くのも、寝袋とカンテラを持つのよ、と止めるでもなく好きにさせるのがとても好感を持てますし、
ミィの散らかしたものもちゃんと片付けています。それでいて庭を作ったり絵を書いたり、自由でとても可愛いです。

ムーミンはムーミンで、モランやウミウマと会うことを夜な夜な楽しみに待つ感情の変化が、
読んでいて引き込まれるものがありました。ミィはいつもと変わらず好きにやっていて、
それでいて自分の思いはしっかり持っていて、こじつけでワガママに見えるかもしれない所もありますが、
いちばん島の変化を楽しんでいてとても好きです。
結局最後には家に帰るのかなと思いきや、素敵な結末が待っていて、最後まで楽しませていただきました。
ありがとうございました。兵庫県20代

本を開いたら素敵な挿絵とともに「父親たる人へ」という一文。とても印象的でした。
最初は、ムーミンパパが主役ということはどんな冒険物語だろうと、
意気揚々ハツラツとしているパパの様子が目に浮かびました。
しかし読んでいくと、わくわく冒険物語と一言では表現できない。
パパだけでなく、ママやムーミントロールの心の内側の繊細なゆらぎが描かれていました。
パパとは、ママとは。子供の成長。心の葛藤や成長。様々なことが繊細につづられています。
そんな中でのミイの存在は心地よいスパイスで、ありがたい存在でした。

知らないものを知ろうとするとき、なかなか素直に受け入れられなかったり、
自分の思い込みによって見え方が狭まり、
うまくいかなくなったり。そういうことって大人になればなるほど実感しています。
物事の本質を自分の中に落とし込むまでは、
こんな風にとても時間がかかるものだとこの物語を通して思い出しました。

「わたしたちはおたがいに、あまりにも、あたりまえのことをあたりまえと思いすぎるのじゃない?」
大事なことですよね。このママの言葉は以前から知っていましたが、小説の中で出会うとより気持ちが伝わってきました。
意識していないと忘れてしまいがちだけど、心にとどめておきたい大事な気持ちを教えてくれるのがムーミン小説です。

読んでいる途中、ムーミンパパの意固地な姿に切なさがこみあげてきましたが、
モヤモヤを見ないふりするのではなく、こうだと思ったことをまずはやってみる。
悩んでもがいて目を背けたくなったときがあっても、やってみたから気づくことがある。

私も家族を大事にしたい、会話って大事ですね。思いやりも、やさしさも。
そして自分の心の声にちゃんと耳を傾けることも。そう思いました。

灰色の世界から最後は一気にあたたかなオレンジ色の光に包まれ、暖かな気持ちになりました。
大人が読んで沁みる繊細で壮大な冒険物語でした。素敵な企画をありがとうございました。島根県30代ムーミン投稿画像1

初めてムーミンの小説を読みました。
ムーミン一家の新しい島での新生活という舞台が、今の自分の、出産、
引っ越しという環境の変化に重なるところがあって、共感や、学ぶことがたくさんありました。
新しい島の新生活の中での、ムーミン一家のそれぞれの心の葛藤が、今の自分の、
自分では気付いていなかった心の葛藤に気付かされるような内容でした。

自分も、子供が産まれて、引っ越して、人生の中で新しいステップだけれども、
特に大きな事件が起こるわけではなく、ただ諸々新しくなった生活の中で、
モヤモヤすることもあって、今までずっと一緒にいた旦那に対して、
今までとは違う思いや不満を抱くこともあって、
それが物語のムーミン一家(特にパパやママ)に対して共感するところでした。

そしてこの物語を通して、家族のためと独りよがりに行動するのではなく、
もっとコミュニケーションをとって、自分がやりたいこと、上手くいかないこと、
家族に幸せに感じてほしいから行動してることを伝えて、
自分が、家族が、本当に望んでいることを伝えあって、
家族みんなで考えていくことが大切なのではないかと気付くことが出来ました。
この学びを胸に、私も新しい生活をより豊かなものにしていきたいと思います。

このタイミングでこの作品に出会えてとても良かったです。
本当にありがとうございました。東京都30代

小さな頃にテレビで放映されていた「楽しいムーミン一家」、大人になった今、
何度か映像を見返す内に、小説も読んでみようかな?という気持ちになり、
昨年あたりから少しずつ揃えていたところでした。
ですが、今回の「ムーミンパパ海へいく」はタイトルを失念していたのか揃えておらず、
今回初めて読ませていただきました。

テレビのお話でもこの小説が元となったお話がありますが、
原作ではこれだけ長い間島に滞在していたこと、キャラクターそれぞれに思い思い過ごしていた様、
そしていつも気になる存在のモラン!が頻繁に登場してくることに驚きながら読み進めました。
キャラクターの中ではムーミンママが大好きなのですが、親になってみるとママの視点、
パパの視点が共感できる、理解できるという点にも気が付きました。

住み慣れた家でない場所に、かつてのロマンを追い求めるパパ、そのパパを支えつつ、
新しい場所で居心地のいい暮らしを作ろうとするママに、現在転勤族で、
知り合いのいない土地に越してきている私には、特に共感するところが多かったです。
そして壁に書いたりんごの木の側で眠ってしまうママがとても可愛い!
ママでもそういう時あるよね、と思いました。

また、あとがきにもありますが、今回のお話のように、ムーミン家は大雨で家から避難したり、
彗星が接近したり、モランがやってきたり!と、
意外と今でも起こり得るような災害や過酷な状況に見舞われたりします。
小さい頃にはそういった展開が怖い、という思いがありましたが、
今回の「ムーミンパパ海へいく」で、それぞれのキャラクターがそれぞれの方法で初めての状況を受け容れて、
時には楽しんで、ひとつ乗り越えていく様を読んで、自分、
家族がそのような状況になっても、同じように乗り越えて、糧にしていきたいな、
と思わせてくれる、やわらかな一家のメッセージのようなものを、今回も感じました。
こういうところが大人になってもムーミンが大好きな理由かも、と思いました。

この度はありがとうございました。
本が届いた時も贈り物を頂いたようでウキウキしましたし、素敵な夏の風景の描写が多く、
フィンランドの夏もこんな感じなのかなーと想像しながら、久しぶりに読書をして、
本当に夏休みの宿題をしているようで、楽しく夏を過ごせました。京都府30代ムーミン投稿画像2

今回初めてムーミンの小説を読み、
今まで「グッズに使われているキャラクター」という認識でしかなかった
ムーミン一家の性格などを知っていくことで、
今まで以上にムーミン一家が好きになりました。

小説では各キャラクターの自然とのかかわり方、
そして何よりも自分の機嫌は自分でとるというスタンスに惹かれました。
特に印象的だったのは、
ムーミンが自由気ままなうみうまと友達になれず落ち込んでいた時のムーミンママの言葉です。
「うみうまと友達になるなんてできない相談だと思うわ。
だけど、だからといって失望することはないのよ。
きれいな島とか美しい景色を見るのと同じに、うみうまを見ることができたら、
それで幸運だと思えばいいんじゃない」。
この言葉は、悲しいとか残念といったマイナスな気持ちが先行してしまうことでも、
ステキとか嬉しいとか忘れがちだけどプラスな気持ち・側面があるんだよ、
とムーミンママが私に直接言ってくれたように感じました。
また、ムーミンパパのうんちくに家族が度々呆れているところには笑いました。

挿絵も可愛くて、また別の巻も読んでみたいなと思っています。
可愛いトートバッグ、そして書籍に触れる機会をいただきありがとうございました。埼玉県30代ムーミン投稿画像3

ムーミンが小さい頃から好きでしたが小説ははじめて読みます。
「ムーミンパパ海に行く」は挿絵が好きです。
毎日が平和すぎて物足りないパパが家族を連れて灯台守になる為小島に引っ越す事を決める!
そんな家族に小島での暮らしは理想通りに行かなくて、
ママにも口調の変化などでて今までのママと違って可愛いと思いました。

ミイは冷静に物事が観れてて自由で頼りになり、
ムーミントロールは思春期の微妙な時期を小島で迎え大人に近づきモランとの友情も芽生え素敵でした。

思い通りにいかないパパの行動で、
それぞれの思いが最後に灯台に光が灯った様に明るくなったんだと思います。広島県40代ムーミン投稿画像4

ムーミン谷から灯台のある孤島に引っ越し。
なかなか島になじめないムーミン一家が、失敗や苦労を重ね、経験をつんでいく。
パパの責任と意地(ほぼ意地なような)やることがなくなり、ホームシックになるママ。
憧れのものに近付きたいが相手にもされないムーミン。
ひとりしっかり自立するミイ。

安寧の地を離れ、孤島へと移る一家の姿は何を意味するのだろうか。
家族みんな仲良しこよし、のお話ではないところがアニメとかムーミンの世界観をイメージしているとビックリするかも。
ともかく、暗い。フィンランドの自然の厳しさがすごく前面に出てきて、それが最後まで続く。
ムーミン谷に帰っていないので、このあとムーミン達はどうなったのか?
が気になるところ。

モランとムーミンが心を通わせ合う日が来るとは思いもよらなかった。
うみうしとも。モランは避けられていたけれど、
最終的に心を通わせることであたりを凍らせてしまうこともなくなり、
なんだかひと安心。何らかの魔法が解けたのかしら。

名言は少ないような気がしますが、印象的なフレーズをいくつか。
【ちょっと眠るよ。ちょいちょい、寝ている間に、問題が自然にとけることがあるからな。
頭はほったらかしておくと、よく働くものなんだ】これは、覚えておきたい言葉。
考えすぎも良くないですからね。
【母親というものは、好きなときに出かけていって、外で寝たりというわけにいかないのが残念だわ】
子育て世代ど真ん中の私にはとても共感できる言葉。
この本を通してママの苦しみ、ストレスがとても感じることができてママ世代には非常に共感できそう。

この本を再び読み返す時、また違った感想を持ちたいものです。静岡県30代

ムーミンのキャラクターは知っていましたが、本を読むのは初めてでした。
まだ読み終えていませんが、
家族に頼られたいが空回りなパパ。
優しく見守っているママ。
好奇心旺盛なムーミン。
何でもハッキリ言うミイ。
どのキャラクターも可愛いなと思いました。
また、それぞれ悩みがあり葛藤している姿が人間味があり、
とても親しみを感じました。最後どうなるのか楽しみです。
ゆっくり読もうと思います。東京都30代

最初、ムーミンパパが家族から相手にされず、
寂しい思いを持ちながらも、どうしようかと悩んでいる様子が印象的でした。

私だったら悩んでいても行動できずに諦めたり、
その状況を受け入れるしかないなと思ってしまいそうですが、
ムーミンパパは勇気を出して行動にうつしていて、その姿に元気をもらいました。
他のムーミン小説も読んでみたいと思います。神奈川県20代ムーミン投稿画像5

家族を守りたい、家族から頼りにされる存在として頑張りたいというパパの気持ちとは裏腹に、
島に渡ってからもなかなかうまくいかずにイライラするパパ。
そんなパパを愛しているママは何も言わずについていく。
でも途中からママもおかしな方向に。
家族を優先していたママも自分のことを優先したり、部屋の壁に絵をかくことに夢中になったり。

結婚をして家族を守りたいという気持ちもありパパの気持ちがとってもわかると思いながらも、
やっぱり夫婦でお互いの気持ちをしっかりと話し合いながら家族の時間を作っていくことが大切だなと感じました。
コミュニケーションってとても重要ですよね。
「わたしたちはおたがいに、あまりにも、あたりまえのことをあたりまえと思いすぎるのじゃない?ねえ、そうでしょ?」
このママの言葉も印象的です。
お互いの行動をあたりまえと思わずに、いつでも感謝の気持ちを忘れずに、
そしてしっかりと表現していこうと思いました。
はじめてムーミンの小説を読みましたが、いろいろと考えさせられました。
キャラクターや雰囲気が良く、ムーミンが好きでしたが、
話の内容やキャラクターの言葉や行動を知ると、よりムーミンの世界が好きになりそうです。
他の小説も読み、またムーミンバレーパークに行ってみようと思います。東京都在住30代

ムーミンは、小さい頃テレビで見ていました。
でも、考えたら意地悪なことを言うミーや、大人なスナフキン、そして岸田今日子さんの声のムーミン。
私の中のムーミンのイメージは声の記憶が大部分を占めていました。
あとはキャラクターとして、ぬいぐるみやアラビアのマグカップなどかわいいな、と集めたりしていました。
要はムーミンの話自体は全く詳しくなかったので、
ムーミンがムーミントロールと言う名前だというのも、今回初めて知りました。

今回この本を読んで、感じた事は、人生と同じだなという事。
パパやママ、特に大人は自分の役割について、こうあらねばならない、
(パパなら家やみんなを守るために、自分が)と思い込んでいることが多いんだな、ということ。
子どもたちは成長して、大人が知らない世界を築いていく、という事。
そして、海などの大自然、モランや漁師に対して、自分の思い込みにより敵対するのではなく、受け入れる。
こちらの気持ちの持ちようで、相手の対応が変わり、事が上手く運び出す、という事を再認識することができました。
物事に対して、常に柔軟な態度で接したいなと思いました。

今回、考えるいい機会をいただき、ありがとうございました。
久々に、気がかりな夏の宿題(感想文)でしたが、これで解放されます。埼玉県50代

まずは、大人になってしまった私に、このような機会を与えてくださって感謝しています。
はやる気持ちをおさえつつ、8月の末になるのを待って読ませていただきました。

ムーミンパパの突然の思いつきで、家族はムーミン屋敷を後にするのですが、
住み慣れた場所からの移動は不安しかないと思うんです。
夜の船出など本当に怖いし、灯りの付いていない灯台は、ムーミンパパでなくても不信感を持ってしまうでしょう。
ムーミンパパに振りまわされながらも、各々が小さな居心地の良さを見つけていく様子は、
特にムーミンママがかわいそうで仕方なかったです。

ムーミンと言えば、スノークのお嬢さんはどうした?とツッコミを入れたくなるウミウマへの初恋?
マイペースなミイはともかく…、楽しいのはムーミンパパだけ?
と思わずにはいられませんでした。
とくに雨の中のピクニックとか…意味不明です。

灯台島に居る唯一の住人、漁師が語らないことで、一層島の生活の悲壮感がわいてきます。
それでも最後には漁師のためにバースディパーティまで開くというムーミン一家は本当に社交的なのだと思わされました。
とくに、最後に帽子を交換する所が又いい。

ムーミン童話には、決まった日というものが少ないので、
今年は10月3日になったら、ケーキに3本ろうそくを立てて、お祝いをしてみようかな?と思いました。
そして、もっと勉強して、原作をフィンランド語で読めたら、何かに出会えそうな気持になりました。神奈川県40代ムーミン投稿画像6

NHKで放送されたアニメの中のエピソードがいくつか入っていて、とても興味深かったです。
アニメと解釈が違うところがあり、ムーミン一家のお話の原作は小説?絵本?そんなことを考えながら読みました。

マイペースなムーミンパパ。
どんなときも自分をしっかり持っているたくましいムーミンママ。
ムーミン谷から離れた、不思議な島での日々を通し、家族それぞれの今までとは違った面が見られました。
読み進むとムーミン達への愛がより深まりそうな予感。
本自体は装丁が綺麗で、手触りも良くて、読んでいて嬉しい。
でも思ったよりたっぷり厚みがあり、実はまだ途中までしか読んでいません。
少し涼しくなってきたので、読書を再開してゆっくり楽しみたいと思います。兵庫県50代

「ムーミンパパは、海へ。ムーミンは、どこへ?」
家族間でも、友人間でも、赤の他人との間であっても、
人と人との間であれば、不協和音が生じることは、ある。

「ムーミンパパ海へいく」の物語の冒頭は、ずっと不協和音の連続で、読んでいて不安になるほどだ。
その不協和音をもたらしているのは他でもないムーミンパパなのだが、パパはそのことに無自覚なようにみえる。
いや、無自覚だからこそ、自分が変わるのではなく新天地に乗り出すことでその事態を打破しようとパパは考えたのだろう。

物語はハッピーエンドで終わりを迎えるが、果たしてパパの計画は成功したと言えるのだろうか。
環境の変化という大きなきっかけがあっても、自分から変わろうとしない限り、人は少しずつしか変われないように思う。

その一方で、内面世界では海よりも遠くに行ったのがムーミンではないだろうか。
うみうまとの出会い、モランとの交流、ありのいた広場での葛藤、
情景描写の美しさとともに、ムーミンの抱えた痛みや苦しみは胸に迫る。
しかし、その苦さなしに心の成長はないのだろう。
ムーミンママの子どもを思う気持ちに支えられてはいるものの、
ムーミンは守られていないその先へ向かおうとしている。
モランとの結末は、ムーミン本人も予想もしていなかったほどの「遠く」だったはずだ。

ママの言う「春のめざめ」、めざめて、いつか子どもが親を追い越す、
それこそが親子のあるべき姿なのだと思う。
『ムーミンパパ海へいく』は、その姿の一つを描いた物語だと思う。東京都40代

「ムーミンパパ海へ行く」タイトルから愉しい内容をイメージしていたけれど、
読み初めからなかなか、パパしっかり‼︎と思いながら、
美しいうみうまを想像したり、ミィの鋭さにドキッとしたり、
最後は 明るく光が差したような、平和な気持ちになれて安心しました。

娘が生まれて はじめての夏。
お昼寝中いつ目が覚めるか ちょっとソワソワしながらの読者時間でした。
ムーミンママのように穏やかに、家族のバランスをとれる存在は憧れです。
もう少し余裕ができたら、またじっくりと読み返してみたいと思います。
この度は素敵な夏のご縁をいただき ありがとうございました。千葉県30代ムーミン投稿画像7

タイトルからムーミンパパがワクワク冒険に行くのかな!
と思っていたら、ムーミンパパが空回るお話でした。
素敵なムーミン谷から家族を連れ出して、孤島へ移住し、灯台守になるパパ。
こういうお父さん、今の日本にもいそうで、それに振り回される家族は大変そう。
そんな夫をほんわりと受け止めるムーミンママがすごい!!
絵もお上手で、いつもと違ったママの姿が見られました。

ムーミン一家の養子となったミイも大活躍で、彼女の思い切りの良さが良すぎて、唖然。
逞しすぎる。ムーミンとモランの関係も良かったのですが、
最後までムーミン谷のお家には帰らずに終わってしまったので、
すごくお家の恋しくなるお話でした。やっぱおうちが一番!!

また別の巻での企画を楽しみにしています!有難うございましたー。茨城県30代

ムーミンはアニメしか知らなかったので、今回この本を読んで驚くことばかりでした。
特に、理想の父親像・家族像を求めて悪あがきにも見える行動をとるムーミンパパの姿が衝撃的でした。
現状に我慢できずもがいたり、新しい環境で本性が出たりするのは誰しも経験があることかと思います。
また、よかれと思ってした行動が、周囲からすると迷惑だったり嘲笑の対象になることは、現実社会でもままあります。

日本でムーミンというと、愛くるしいキャラクターイメージが先行して子供向けの分類にされがちですが、
本書は大人にこそ読んでほしい、自分の姿を見つめなおすきかっけになる良書だと感じました。

この話の最後、登場人物たちはそれぞれ、冒頭とは違った姿を見せるようになります。
ムーミンパパと漁師は自分本来の姿を取り戻して、見栄や呪縛から解放されます。
ムーミントロールは「春のめざめ」を経て成長し、
ムーミンママはよき母・よき妻にとらわれない、「愛するパパに従順なママ」から脱却しています。
そんな中、ミィが徹頭徹尾自分自身を貫いており、
発言も皮肉はこもっているものの真実をついているのがとても印象的でした。

どんな人が読んでも誰かしらの立場に感情移入することができるので、
老若男女問わず心に響く本だと感じました。
ちなみに私自身は、ムーミンママがだんだんと自己主張しつつ、
いろいろなことに挑戦していく姿に勇気をもらいました。
これをきっかけに、シリーズのほかの本も読んでみたいと思います。
素敵な本との出会いに感謝いたします。埼玉県30代

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