ムーミンの日を祝うイベント

小さな図書館、
はじめて読むムーミン小説 第2巻

ムーミン谷の十一月

やるせない心を持てあましてしまったとき、
あなたが会いたくなる人は、誰ですか?

スナフキン、ホムサ・トフト、フィリフヨンカ、
ヘムレン、スクルッタおじさん、そしてミムラ。

暮らしぶりも年齢も性格もバラバラな6人が
たまらなくムーミンたちに会いたくなって
それぞれの場所からムーミン谷を目指します。
ところが、ムーミン屋敷に一家の姿はありません。
一体、どこへ行ってしまったのでしょう?
一家の帰りを待ちながら、偶然に居合わせた者たちの
共同生活が始まります。

ムーミン小説シリーズ 最後の物語である
この『ムーミン谷の十一月』には
ムーミン一家は直接には姿を見せません。
でも不思議と、一家の存在が
くっきりと感じられるのです。
そして、これはあなた自身の物語。
読み進めていくうちにきっと、どこかで
ご自分の姿を目にすることでしょう。
さあ、本を開いて、あなたも一緒に
ムーミン屋敷で暮らしてみませんか?畑中麻紀(新版ムーミン全集 翻訳編集)

新版『ムーミン谷の十一月』感想文集

『ムーミン谷の十一月』のあらすじはこちら

この物語に登場する生きものたちは、それぞれが、とても個性的な様に感じますが、
なぜかどの生きものにも共感できる部分があります。
こういう人、まわりにもいるなと思う場面が多かったし、私自身も、
フィリフヨンカやヘムレンさん、スクルッタおじさんの気持ちがよく分かる気がしました。

「いつまでたっても決まりきったヘムレンのくらしが、毎日毎日つづいていくんだ」

みんなが新しいことにわくわくして、ムーミン谷に向かう場面が好きです。

それぞれ事情は違うけれど、ムーミンたちに会いたくなるなんて、ムーミン一家はどんなに素敵なんだろう、と容易に想像できました。スナフキンが言っていたように、わいわいしているのに、ちゃんと一人になれる、そんな魅力があるのだと思います。

初めはお互い文句を言っていたけれど、いつの間にか認め合うようになり、パーティーまで開く。
皆が、自分自身を解放できたからだと思います。とても素敵な物語でした。東京都在住30代

まず始めに、この新版の小説を11月から12月のリアルな季節に読める機会を頂けたことを嬉しく思います。
寒さや切なさ、人恋しさなど小説の気分も雰囲気も存分に味わえたからです。

ムーミン一家以外のクセのある仲間たちに焦点があたり、最初はスピンオフ感を感じながら読み進めましたが、
個性的だからゆえに、色んなことを考えてそれぞれ、必死に楽しもうと生きているんだろうなーと、
そのクセが楽しく思えてきました。

私自身にだって、沢山クセはあり、変わってる人間かもしれないし。
そんな彼らが、何かを思い出したり、できるようになったり、他人を受け入れたり、モヤモヤが解けたり、
納得していく様子がとても気持ちよく、
今、何がしたくて、何が出来れば良い1日だったと思えるかな、と自然に自分のことをイメージしていました。

印象的だったのは、ミムラねえさんの
「たのしくすごすってほんとにわけのないことよ」という言葉で、大好きです。
自分もそういう気持ちで日々を過ごそう、と思いました。東京都在住40代ムーミン投稿画像1

ムーミンは物心ついたころから好きで、
なぜか年の離れた姉兄もみんなが好きというわが家では暗黙の了解のように、
家族の共通するものの一つに”ムーミン”がありました。

大好きなムーミンですが、小説については、子供のころ読もうとして断念をした記憶があります。
それから1冊は読み、しかしなかなか読み進められなかった。そんな記憶があります。

しかし、今回のこの企画を目にしたとき、私は体と心の不調により約10年勤めた職場をやめ、
まさに「やるせない心」を持て余していました。
そんな時この企画、作品と出会いました。
すると読み進めるうちに、登場人物のそれぞれの姿が、自分の中にある様々な気持ちとリンクしていったのです。

この小説の中では、登場人物それぞれが自分の暮らしのスタイルを大事にしていて生きている。
その中で自分の心が感じた違和感やさみしさから、「あの人に会いたい」という自分自身の心の根っこの声に従って行動を起こしているそれぞれの姿は、そうできていなかった私を励ましてくれるようでした。

その場に偶然集まったみんなは、お互いに干渉しないように思えて、心を通わせようとしている。
それはまさに社会そのものだなと思いました。
しかし、無理に人に合わせた共同生活ではなく、思いやりをもった行動、自分の声のまま一人になる時間、
そうしたいからと踊る姿などから、私は私でいいんだよね、そんなことを感じながら読んでいました。

また長年、私が大好きだった言葉がこの本からきていることを知ることができました。
それはスクルッタおじさんの
「まぁ、それはそうと、今日はとてもたのしい一日だったわい。いかにも、わしの一日らしい一日じゃったな」です。
この言葉が描かれている日めくりカレンダーを持っていて、毎日そのページを目に見える場所に置き、
寝る前に自分にそれを言い聞かせて眠っていました。
スクルッタおじさんの声が、この本を読んでより理解できました。

どの登場人物も、自分の心の声と向き合いながら、他人と向き合い、会いたいあの人たちに思いをはせ、
自分を成長させようとしている姿を描いているこの作品。

私も会いたくなりました。
ムーミン一家にも、大切な友人や恩師。家族。
私にとって大事な人たちとの時間や、大事な人を思い出す時間。
それは自分の心を整えてくれることをこの本から感じた気がします。

やるせない心を持て余し、心を見失いそうになっていた今、出会うことができたことに感謝します。
初版からどのくらい年月がたっても、トーベの描く作品から勇気や愛、知恵、心のこもったメッセージをもらえる、
それってすごいことですよね。
これが新訳の素晴らしさなのかなと、そういったところも感動しました。
ほかの新版も読みたくなりました。ありがとうございました。島根県在住30代

・森はすてきなにおい
本を読んでいる間中、部屋には清々しい森のにおいや雨の音、ジャスミンのしげみ、小川のせせらぎ、
ひみつめいた夜の音でいっぱいになり幸せな気持ちになりました。
スナフキンもホムサやヘムレン、フィリフヨンカたちは自由を愛する「ぼっち」たち。
でも心の中は個性的で深い森のように豊かなんです。

・台所はしびれるようないいにおい
幸せなムーミン一家を訪ねてきたのに彼らは旅に出てしまったようです。
がらんとした寂しい屋敷。でも台所は違いました。
スクルッタおじさんが釣ってきた魚をフィリフヨンカがプディングにしました。
料理を作る間中ミムラとムーミンママの話になりました。
台所にはやっぱりママがいないとね。

・ああ、人生とはなんだろう
その夜のパーティでヘムレンは詩を朗読しました。
しあわせとは、なんだろうー
海に広がる自由の価値を知る

ムーミンの絵が好きでマグカップをコレクションしていました。
でも本を読んだことがなかったのです。
その世界は深く豊かでした。
このようなチャンスをくださってありがとうございました。東京都在住60代

初めて読むムーミンの小説が、ムーミン一家の出てこないお話なんて、はたして楽しめるのかな。
と少し不安もありました。
読んでみてコロナ禍の現在だからこそ、この本を読んで良かったと感じています。

本の中に出てくる登場人物たちは皆ムーミン一家に会いたくてムーミン谷にやってきますが、一家は旅に出ていていません。
そこで奇妙な共同生活がはじまります…

まず一番に感じた事は、コロナの影響でしばらく帰っていない実家にとても帰りたくなった事です。
本に出てくるみんなにとっても、ムーミン一家って実家とか故郷みたいな感じなのかもしれません。
そばに居る。ただそれだけで安らげるような。
そして私も子供達にそんな風に思ってもらえる家庭だといいなと思いました。

物語に出てくる面々は個性豊かなキャラクターですが、でも現在を生きる私たちの中にも、
少しずつどのキャラクターも眠っていると思います。
私は特にフィリフヨンカの性格が一番近くて共感出来るかな。
私はお掃除もお料理も苦手だけど。虫が苦手なのは一緒。
でもスナフキンみたいにフラッと何処かに出かけたくなる時もある。
ヘムレンさんみたいに子供達にはこうしなきゃダメって仕切ってみたり。
思わずクスッと笑ってしまいました。

小説の中には色々と素敵なセリフがあって、私が一番好きなのはスクルッタおじさんの、
「わしは今、休暇中なのだ。なにをわすれるかは、わしの自由だ。わすれるって、いいことじゃないか。
ちょっとした、ゆかいなことは一つか二つおぼえているが、あとはみんなわすれるようにしてるのさ。
ゆかいなことは、まあ大事じゃからな」ってセリフ。
なんか色々と考え込んでしまうことが多い今、心にすとんと響きました。

私にとってムーミンは子供の頃に見たアニメのイメージが強くて、小説がある事を知ったのはつい最近の事です。
挿絵の素晴らしさには感動しました。
本作は、特にこれから結婚をする、家族をつくる方たちにぜひ読んでいただきたいと思いました。
家族ってお互い好き勝手に生活をしていても、たまに相手をほんの少しでも思いやれば案外上手くいくかもしれません。
そんなことを感じさせた1冊でした。

今後全シリーズを読んでみたいなって思いました。愛知県在住40代

読み始めてすぐ「これは難しい作品だ」と感じた。
読み返したり、シリーズの他の作品とも読み比べたりして、一風違った何かを時間をかけて味わった。

小さなホムサ、スナフキン、ヘムレンさん、フィリフヨンカ、ミムラねえさん、スクルッタおじさん。
それぞれのキャラクターが、それぞれの理由を持ってムーミン屋敷に集う。
おそらくはひとりひとりが、ムーミン一家と会うことで、
自分の中の「満たされない何か」を埋めてもらえるのではないかと期待して。

たどり着いたムーミン屋敷で、一家の不在を知った彼らが、つかの間の共同生活を始める。
もちろん、彼らが描く理想の家族「ムーミン一家」の姿とはかけ離れた、ちぐはぐなコミュニティだけれど、
ちぐはぐなりに「他を満たすことによって己が満たされる」ことを見出だしていく物語と読めた。
そしてその姿こそが、彼らが求めて止まないムーミン一家のありようそのものなのだろう。
ムーミン一家が最後まで登場しないこの物語で、愛すべきこの家族の姿がじわりと描き出される。

登場するキャラクターの中には、到底好きになれない個性を持ったものもいて、
傍若無人な振る舞いでコミュニティを引っかき回す。
それでも誰も放り出さないのが不思議だったが、彼らもひとつの家族になっていたのだとしたら…
そこがこの物語の優しさなのかもしれない。

自分のいないところで、誰かに思い出してもらえること。
「会いたい」と思ってもらえること。
それが「幸せ」のひとつの答えだと感じていた少年の自分と再会したような、
人恋しい冬の夜の温かな読書の時間だった。新潟県在住40代

誰かを思うと寂しくない。もう1人じゃないよ。
コロナが広がる今の世の中、1人じゃないよって教えてくれたこの本は世界中の人に読んでもらいたい。
自分にとって大切な人のことをまた思い出したり、想う機会になりました。
ありがとうございました!

昨年うまれた息子がお昼寝している隙を見て読ませていただきました。
序盤では、どことなく落ち着きがなく、周りに強い態度を取ってしまうフィリフヨンカと私は似ているな、と感じました。
大好きだったはずの"そうじ"が出来なくなったフィリフヨンカが、
はじめての子育てで気持ちに余裕がなくなった自分とも重なりました。
他の登場人物もみんな、心の拠り所であるムーミン一家がおらず、すれ違いが生まれていましたが、
最後のパーティーで気持ちがぐっと近づいたのがとても印象的でした。

素敵な作品を送ってくださり、ありがとうございます。
私も心の中にゆとりを持って、自分やこれから出逢う人に接したいな、と思わせてくれる作品でした。千葉県在住20代

私はリトルミイやスティンキーが大好きで、グッズはたくさん持っているものの、
小説は今回初めて読みました。

小説はあまり読まないので、時間がかかってしまいましたが、最後まで楽しく読むことができました。

特に今回の物語の中で半分ぐらいのキャラクターは、初めて知るキャラクターたちで、
どのキャラクターも個性が強く、ほっこりさせてもらいました。

私はミムラの周りをよく見ていて、温かい声をかけてくれる人柄がとっても大好きになりました。
こんなお姉さんが欲しいと思うほど!笑

ムーミンの布団、ブランケットに包まれながら、読ませていただきました。
他の小説も揃えたいと思いました。千葉県在住20代ムーミン投稿画像3

小説が届いた日から娘に読み聞かせを始めましたが、
娘のペースに合わせて読んでいると間に合いそうになかったので、
こっそり読み進めました。

ムーミン一家が出てこないムーミン小説ってどんなだろ?面白いのか?と思いながら読み始めました。
みんながムーミン一家の事を思い、同じ時に集まり、
共同生活をする事で自分達の問題が自然と解決されていくのが意外でした。
そして、みんなが会いたいと思うムーミン一家のような家族に我が家もなれればいいなぁと思いました。

娘が成長し、漢字が読めるようになったら、あらためて自分で読んでくれる事を願っています。福岡県在住40代

ムーミン一家は1度もでてこないけど、ずっとムーミン一家のあたたかさを感じさせる不思議なお話でした。

読んでみて、私自身がヘムレンさんに似てるな、と思いました。
より良い生活のために!きっとみんな喜んでくれるはず!と、しなくても良いようなことを勝手に背負って忙しくして。

そして時々それが憂鬱だったり、理解されなくてバカらしくなったり…
生活スタイルや習慣をガラっと変えてみたくなったりするのです。

ヘムレンさんはそんな時にムーミン谷に向かった訳ですが、私にとってのムーミン谷は何だろう?と考えさせられました。
これだ!というのは思い浮かばなかったけど、いろんな個性に触れて過ごすことは、
自分自身や自分がしたいことを見つけるいい機会になるんだな、と思いました。

状況や環境が違ったら、違う登場人物に共感するかもしれません。
時間をおいて、また何度でも読みたい本に出会えました。ありがとうございました。東京都在住30代

ムーミンの結婚指輪を購入してからこの企画を知り、参加させていただきました。
正直ムーミンの本を読んだことがありませんでした。
有名なキャラクターしか知らず、まず登場人物を把握するのが難しかったです。
ただ人物それぞれの個性が強く、良くも悪くもその個性をはっきりと感じとることができました。

何かにつまずいてしまったとき、みんながムーミン一家に会いたくなったように、私も実家の家族に会いたくなりました。
結局ムーミン一家は何をしてたんでしょうか?とても気になります、笑

読むのに少々苦労しましたが、共感するところもたくさんあって楽しい読書になりました。
機会があればほかのムーミン小説を読んでみたいと思います。
この度は参加させていただきありがとうございました。石川県在住20代

今回はこのような機会を下さりありがとうございました。
以前に旧訳の小説を読んだ時は、移り変わる登場人物の姿がなかなか頭に入らず、
文字をなぞるだけになってしまいましたが、今回は最後まですーっと読めました。

最後にはムーミン一家が出てくるだろうと思いながら読み進めていく私の気持ちは、
ムーミン一家を待ち侘びる6人と同じだったように思います。

トーベヤンソンの亡き母への想いが
「会いたい人に会えなくても心で感じる事はできる」と
教えてくれたように思います。長野県在住30代

久しぶりにムーミンの書籍を読みました。
多分小学生以来だと思います。
あの頃は文章を読みながら、難しいイメージがあり、内容が記憶に残っておらず、
アニメで見たイメージだったので、大人になって改めて読んでみたいと思っていた所に、
今回の企画を目にして申込みをさせて頂きました。

ムーミン一家は出てこないのですが、様々なキャラクターが順番に描かれており、久しぶりに読んでも、
どんなキャラクターだったか、理解しながら読み進めることができました。
改めて読むと、スナフキンにも嫌いな事があり、怒ったりするんだとか、ミイは養子だった事など、
私の中で再発見する事ができました。

好きな事ができなくなって、やれないでいたけど、いつの間にかまた好きな事ができるようになる。
そんな心情が自分と重なり、遠回りすることや立ち止まって行くその過程を読み取ることで、人生を急ぐ必要も無ければ、
やりたくないことをやらなくていいと言う選択を取ることもできるよねと、心に余裕が生まれました。

次は、別の作品を読んでみようと思います。ありがとうございました。東京都在住40代

秋のお話の中で、冬には夏を、夜には朝を、やがてくるものに想いを馳せて、
"今"をどのように過ごそう…そんなことを感じました。

印象に残っているのはスナフキンの言葉
 「あんまりおおげさに考えないようにしろよ。なんでも、大きくしすぎちゃ、だめだぜ。」
肩に力が入りがちな私にはスッと気持ちが軽くなるセリフでした。

知らなかったミイとムーミン一家の関係にもびっくり!!
そして無性にお掃除がしたくなる!!

読み進めていくうちに、ミムラねえさんに憧れつつ、フィリフヨンカに親近感を抱いたり。
音楽好きのスナフキンのことがやっぱり好きだななんて想ったり。
ふと隣を見れば、ホムサのように丸まって眠る愛犬にくすっとしてしまいました。
個性豊かな愛すべき仲間たち。私にとっても 大切な一冊となりました。

通学時間の列車の中でよく本を読んでいたけれど、車を運転する日々になり、本を読むことが少なくなっていました。
今回、このような機会に紙ベースの文字に触れ、
やっぱり本って良いなと暖かい気持ちになりました。千葉県在住30代ムーミン投稿画像4

はじめは望まない共同生活でも、お互いにふれ合う中で、みんな自分と向き合い、
自分だけの「しないではいられないこと」を再発見することができました。

作中のムーミン谷の描写やみんなのかけあい、もちろんかわいらしいイラストも、そのどれもが印象深いです。
読むとその日1日が、静かだけれどウキウキした気持ちになれる1冊でした。

「目がさめたときにたいせつなのは、ねむっているあいだも、
だれかが自分のことを考えてくれていた、ということがわかることなんだ」
自分もトフトのように、誰かを思いやれる人でありたい、願わくは思いやられる人でありたい、そう思いました。

素敵な時間をありがとうございました……!静岡県在住20代

初めて読みましたが、以前からムーミンたちが出てこないことは知っていました。
どんな物語なのだろうと、楽しみに読み進めました。

ムーミンたちが不在のムーミン谷に来た生き物たちは、結局ちびっこホムサのトフトを残して、ムーミン谷を去って行きます。去る生き物と、トフトの違いは何だろうか、と思ったときに浮かんだのは17章の誕生日祝いの古い包み紙でした。

「かわいい ミイちゃん。だいて ほおずりしてあげる。」
ムーミン谷へやってきた生き物は、みんなひとりぼっちでした。
ひとりぼっちで、ムーミン谷を求めてやってきて、
でも他の人との出会いの中で代わりに掴んだものがあったので、
帰っていくことができたのでしょう。

でも、トフトだけはまだ子どもなのです。物語には明確に子どもだとは書かれていないけれど、エピソードの一つ一つに、
いじらしい子どもらしさと同時に孤独さがにじんでいます。
代わりのものだけでは足りなくて、
「だいて ほおずりしてくれる」ムーミンママとの出会いが必要だったのだろうと、そう、感じました。

ムーミンたちに出会っても、トフトは孤独かもしれません。でも、必要なものはきっと与えられる。
そしてもし、与えられないまま大人になってしまうのだとしても、
谷へやって来ることになったヘムレンさんやフィリフヨンカのように、
思いがけないかたちで与えられることがある。
人に、与えることがある。
そう、思いました。東京都在住40代

ムーミン谷の十一月、ムーミンシリーズの最後の本、読む時を選ぶ物語。
あせってるときも元気一杯なときも受けつけられない。
活字をさーっと斜め読みしてしまう癖を意識的に止め、無闇に多い句読点ごとに1呼吸を置けるくらいに、
ゆったりしたテンポのときだけ、この世界を垣間見ることを許されるみたい。
忙しい毎日の中じっくり時間を作って読ませていただきました。

ムーミン谷が舞台のお話、でも肝心なムーミン達は出かけてしまってずっと登場しません。
存在感だけはすごくあって、みんなの思うそれぞれのムーミン家族のイメージがあって、
それが合っているような間違えているような?

お話としては、自分にない何かを求めて、集まってきたメンバーが、思いがけずムーミン一家抜きで共同生活をすることに。
神経症気味のフィリフヨンカ、自信のなさを隠すために強がるヘムレン、コミュ障のホムサ、物忘れの激しいスクルッタおじさん、そして束縛を嫌うスナフキンは、ムーミン谷という癒しの場で求めていたものを発見し、また旅立っていく。

ミムラねえさんは終始マイペースで安定していたな。
スナフキン演奏のダンスはきっと素敵なんだろうなーなんて思いながら読み進めて、結局最後はみんなそれぞれの家に。
スナフキンはまた旅に出ていく。

それぞれの関係性がすごく深いわけではないけれど、なんとなく仲間意識が見えて
今のこの世の中と共通しているところもある気がする。

毎日会いたい時に会って、お喋りして、ご飯を食べて、遊びにいって。
そういう関係性だけが全てでは無いんだよって、そんな事を思う本でした

また日を改めて読んだら感想は変わるんでしょうね。
素敵な本を頂きありがとうございました♪静岡県在住

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