ムーミン谷の彗星

小さな図書館、
はじめて読むムーミン小説 第3巻

ムーミン谷の彗星

「ステイホーム」が日常の合言葉になってから、
一年が過ぎました。
来年の今頃にはきっと…と描いていた未来は、文字通り
未だにやって来ておらず、相変わらず
ステイホームな日々が続いています。

それなら、ムーミンたちが旅に出るお話はいかがでしょう?
ムーミン谷に迫りくる不気味な星の正体を突き止めるために、
そして、未知の脅威から生き延びるために、
仲間とともに、様々な経験を重ねていく物語です。

そんな重苦しい物語なんて…と思われるかもしれませんが、
この『ムーミン谷の彗星』はムーミン原作シリーズの
はじまりの物語であり、ムーミントロールと
スナフキン、そして、スノークのおじょうさんとの
初めての出会いが生き生きと描かれています。

そして、何とも深刻な状況下にもかかわらず、
悲観的になり過ぎず、楽しむことも忘れないムーミンたちの姿は
長引くコロナ禍で先が見えず、不安に押しつぶされそうな私たちの心に
そっと寄り添ってくれることでしょう。

さあ、ページをめくって、
ムーミンたちと旅に出ましょう!畑中麻紀(新版ムーミン全集 翻訳編集)

新版『ムーミン谷の彗星』感想文集

木々も、地面も、家も、あたり一面が灰色に汚れ、赤く染まる空から、火の玉のような彗星が迫り来る。
そんな恐ろしい事態の中でも、どこかノンキで、
それぞれにマイペースな登場人物たちがほほえましく、たくましく感じました。

ムーミン一家の強くて深い信頼関係が、ムーミントロールにさまざまな状況に立ち向かう勇気を与えているのだと思います。
彗星の接近におびえるムーミンを、天文台へ行って自分で確かめて来るようにと送り出すパパとママは、
なんてかっこいいんでしょう。
そして、ムーミンは旅の途中、何度も「パパとママならなんとかしてくれる」と言っていました。
たとえ離れていても、パパとママはムーミンを安心させてあげられる存在なのです。
私にはまだ幼いひとり娘がいます。
娘が大きくなったときに、安心して冒険し、勇気を持って進めるように、
いつでもご馳走をならべて帰りを待っているムーミンママみたいな母親になりたいと思いました。

いちばん好きだった野外ダンス場のシーンでは、ツチボタルの明かりのもと、妖精や虫たちと共に、音楽やダンスを楽しみ、
そこでは彗星のことを考える人は誰もいませんでした。
やっぱりみんなノンキで幸せそうなのです。
もし地球滅亡の日が来たら、私も夫と娘と一緒にノンキなダンスを踊ろうと思います。

ムーミン谷の彗星を読んで、心が軽やかになるような素敵なヒントを両手いっぱいにもらえた気がします。
娘が生まれてから、なかなかゆっくりと読書をする時間を持てずにいましたが、日常を忘れて物語に入ってゆくひとときは、
心の栄養になりました。この機会を与えていただき、とても嬉しかったです。
どうもありがとうございました。東京都在住30代

なんでも自分のものにして持って帰ろうとすると、むずかしいものなんだよ。
ぼくは見るだけにしてるんだ。そして、立ち去るときには頭の中にしまっておくのさ。
作中に出てくるスナフキンの言葉です。

小さい頃アニメ版を見た時は、どうしてこんなに綺麗なものがあるのに持って帰らないんだろう。と思っていました。
でも、今はその生き方が、考え方が本当に素敵だと感じています。

今その時を大切に、自分らしく生きることを教えてもらったような気がします。
素敵な機会をありがとうございました。北海道在住20代

今回は、素敵な贈り物をありがとうございました。
久しぶりにムーミン童話を読んだら、子供の頃のわくわく感が蘇ってきて、一気に読み終わってしまいました…!
大人になってから読み返すと、キャラクターたちの印象がまた違って見えて、おもしろかったです。
スナフキンがちょっと天然に見えたり、
スニフが物語の子供たちの中でも"一番リアルな子供らしさ"を持っているように見えたり…。
子ネコちゃんは相変わらず、男の子を振り回す小悪魔でした(笑)。
巻末にはトーベ先生のコメントも載っていて感激でした。
久しぶりにトーベ先生に会えた気持ちになりました。

フィンランド文化を研究していた大学3年の時に、
1人でフィンランド旅行に行ったことを思い出して、懐かしくなりました。
今はこんな社会情勢で…なかなか海外に行けなくなってしまいましたが、本を通してそこに行けた気がしました。
どこかに冒険に行きたくなったら、自然溢れる場所に行って「ムーミン谷の彗星」を読み、わくわくしようと思います。
ありがとうございました。福島県在住20代ムーミン投稿画像1

大自然の脅威の中でも、自分の好きなことや信念を貫くムーミンたちの姿が印象的でした。
相手が傷付くであろうことを恐れすぎず、自由に自分の考えを表現できるってやっぱり幸せなことです。

4歳の娘は、最初覚えたてのひらがなだけ拾って読み進めていましたが、
挫折したのか途中からイラストをじっくり眺めつつ何やら自分なりのストーリーを創造していたようです。

子どももこの本をひとりで読めるようになったら、一緒に感想を言い合えるといいなぁと思います。東京都在住30代

ムーミン谷の彗星は、シリーズの中でも一番好きな物語です。
その理由は、スニフがムーミントロールと同じくらい活躍していること。
スニフは、口調も考え方も、とても可愛らしくて大好きなキャラクターです。
また、スナフキンやスノークのおじょうさんとの出会いが描かれていて、とても新鮮な気持ちになれます。

ムーミンママに対しては、同じ母親として尊敬する部分が多いです。
小さい子を危険な旅に送り出し、子供を信じてケーキを焼いて帰りを待つ。
最近は、危険を事前に回避させてしまいがちな親が多いと思うので、学ぶべき点が多いと思います。
また、自分の子供のムーミントロールだけではなく、スニフや、初めて会ったスノーク達にも愛情深く、
こんな母親になりたいと憧れます。

挿し絵も可愛らしく、とても読み進めやすい一冊でした。
これから何度も読み返し、大事な事を忘れないようにしたいです。東京都在住30代

ムーミンの小説を読むのは今回が初めてでした。
ムーミントロールたちの穏やかで優しい時間に心が温まったり、
赤い彗星が地球に落ちる前の出来事にハラハラしたりと本当に楽しい物語でした。
私は5年前の8月にフィンランドを訪れていて、
物語も8月の話だったので読みながらフィンランドの自然の気持ちよさを思い出していました。

何より、ムーミントロールを始めとするキャラクターたちが自分らしさを大切にしているところがいいなと思いました。
大人になればなるほど、いろんなことを考えすぎて身動きが取れなくなってしまったり、
社会や周りに求められる自分を演じてしまっていたりすることがあるなと思います。
この小説を読んで、いくつになっても自分が大切にしたいこと、好きなことを追いかけ続けていいし、
肩の力を抜いて生きていっていいのかもしれないなと思うようになりました。

今は大変な状況ですが、いつかまたフィンランドに行ける日を夢見て、一日一日を楽しく過ごしたいと思います。愛知県在住30代ムーミン投稿画像2

私は、ムーミンについて詳しくありません…。
埼玉県にずっと住んでいて小さい頃からよく飯能にあるムーミン谷へ遊びに行っていたので、
勝手に親近感はありました。
そして、大人に近づくにつれ、可愛い見た目に惹かれ好きになりました。
だから、ムーミンの本を読んだことはなく、今回の『ムーミン谷の彗星』が初めてになりました。

本を読み終わると、どこかハラハラする雰囲気がある作品ではありましたが、とても温かい、
ほんわかした気持ちになりました。
おそらくそれは、ムーミントロールの性格、
それから家族や周りの友達の雰囲気全ての可愛らしさからだと思います。
そして、ムーミン谷の住人たちがさらに好きになりました。
また、文章の中に出てくる表現もとても豊かな表現が多く、私の好きな雰囲気だなと思いました。

一見分厚そうに見える本ですが、中には挿絵も多くありとても読みやすかったです。
別の作品も手に取ってみたいと思いました。埼玉県在住20代

コロナで変化する毎日、少し早く始まった梅雨。心が鬱々とする中、
お家時間に楽しく読ませて頂きました。
ムーミン谷の住人の互いがありのままを尊重して思いやっている姿が大好きです。

私もサンドイッチ、キャンデー、りんご、ソーセージをバスケットに詰め込んで
ピクニックに行きたいなぁと思いました。広島県30代ムーミン投稿画像3

前にムーミンの小説を読んだのは、15年以上前のことですので、
どんな内容だったかもほとんど覚えていませんでした。
当時読んだものは文庫本でしたので、このサイズの本は字が大きく紙もしっかりしていて、
とても読みやすかったです。

現在は子どもと一緒に、ムーミンのアニメや絵本を読む日々を送っています。
今回、久しぶりに小説を読んで、アニメでよく見て知っているキャラクターが、
小説の中で同じように生き生きと動き回る情景がはっきりと浮かんできて、
物語の内容が驚くほどスッと頭の中に入ってきました。
個人的には、特にじゃこうねずみさんの登場シーンにとてもほっこりしました。
昔はなんとなくムーミンの小説は暗くて不気味に感じていた気がしますが、読んでみて全く怖く感じませんでした。
大人になったからでしょうか?

私はムーミンの原画のデザインのグッズが大好きでたくさん集めています。
当たり前ですが、そのデザインが小説の挿絵にたくさん出てくるので、
グッズに対してより一層愛着が湧くようになりました。
それもあり「ムーミン谷の彗星」以外も全て読んでみたくなりました。
やさしい表現で読みやすい長さですので、
大きくなったら子どもにも読んでもらいたいと思います。東京都在住30代ムーミン投稿画像4

昔からムーミンが大好きなのでグッズはたくさん集めているのですが、
お話に関してはアニメをみたくらいで小説は今回初めて読みました。
久しく読書をしていなかったので、ちゃんと読み切れるかな?と心配だったのですが、
海外の小説ならではの独特な表現や、キャラクターたちの自由奔放さが面白く、
あっという間に楽しく読み切ることができました。

今ムーミンカフェでアニバーサリーケーキというメニューがあり、
本を読むまでは普通のケーキだと思っていたのですが、
小説に同じデザインのケーキの挿絵が出てきて「このケーキがモチーフになってたんだ!」と発見し嬉しくなりました。
小説を読むことで新しい発見ができ、
より一層ムーミンの世界を楽しむことができたので、他のお話も読みたいなと思いました。鹿児島県在住20代

ムーミンのお話を初めて読みました。
のんびりゆっくりしたスローライフを思い描いていましたが、
読み進めていくうちにドキドキハラハラしてびっくりしました。
彗星が段々と近づく危機的な状況は、今の私の環境にも似ているなと思います。

ムーミンママが答えを誘導せず、
あえてムーミンたちに考えてもらいたくて旅に出す場面は感動しました。
なかなか出来る事ではないなと思います。
このお話で、私はスナフキンが大好きになりました。
みんなが悪口をいっても、ずっと一人だとああなるんだよと環境を捉えていたからです。
あと、おみせで怪訝な顔で新しい服を嫌がる場面も人間味があって可愛らしいです。

彗星が段々と近づく怖さ、それをどう受け止めるのかが大切で、
たくさん怖がったって彗星はいなくはならない。
中には怖がらなすぎる子もいてびっくりしましたが、
最後の瞬間まで普段どおり過ごそうとする(内心はドキドキしている)ムーミン一家は愛おしいです。

ムーミンのお話をもっと読みたくなりました。東京都在住20代ムーミン投稿画像5

ムーミンとスニフが探険に出ての皆とのやりとりが、
この春小学1年生になった長男とお友達との姿と重なり微笑みながらも温かな気持ちになりました。

わくわくどきどきする気持ち、未知の世界へ飛び込む勇気は、
私にも勇気を与えてくれました。
ちゃんと食べてちゃんと寝て、
息抜きすることも人生には必要なんだとムーミンママから教えられました。

癒やしと気づきがある物語でした。群馬県在住30代

ムーミンの世界を大切に読ませていただきました。
自然を愛する トーベ・ヤンソン の思いが優しく胸に 伝わってきました。
木の精や水の精が 登場したり虫が演奏をして一緒にダンスをしたり
恥ずかしそうに小さな虫がおしゃべりをする場面が特に好きです。
小さい頃は、そういう幻想的な創造の世界が存在していて、
心の中にワクワクしたりキラキラしたものを持っていたことを思い出しました。
ムーミンの世界には、目には見えないけれど素敵な世界がいつも存在しているのです。

登場人物もユニークで個性的です。
特に弱音を吐いて泣いてわめくスニフの姿は、何だか憎めなくて今では共感もできます。
それぞれの個性を1人1人が尊重し認め合う登場人物たちもムーミンの世界の魅力の1つです。
そしていつでもパパとママが味方でいてくれます。
大好きなムーミン谷とあたたかい家があるというのは、
どんなに怖い目にあっても辛い事があっても、心強くて安心できるのです。

彗星が地球に衝突するかもしれない危機的状況は今、
私達が不安に怯えるコロナ渦の状況に似ているかもしれません。
「あの美しい海が、、、、どこにもない、、、、何もかも変わってしまったんだ」と
頭を抱えて叫ぶスナフキンの言葉が心に刺さります。
先の見えない、この世の中に不安を感じつつも私達は生活をしていかなければいけません。

スノークのおじょうさんはこう言います。
「あの彗星が見えないように何かで隠しておいてね。」
するとムーミンは彗星の見える位置に毛布を吊るすのでした。
とてもユニークなこの場面が私は好きです。
今、私達も恐怖や先の見えない不安と闘うために新たな術を身につけないといけない時なのかもしれません。

「あんなもの見てもしょうがないし。
他の事を考えるようにしてるのよ。」スノークのおじょうさんの言うように、
自分で自分を守る術をもつということは、
生きるうえでとても大切なことのように思いました。
私はまだまだスニフのように、ジタバタしてしまいますが、
彼女のように果敢で時には少し現実から離れて物事を眺める余裕ができたら素敵だなと思いました。

ムーミン谷には朝日が昇りました。いつもと変わりのない朝日です。
私達の世の中にも1日も早く、日常を取り戻し笑い合い、
会いたい人にいつでも会える日が来ることを心から願っています。神奈川県在住30代ムーミン投稿画像6

ムーミンの目線で、ムーミンたちの大冒険を楽しむことができました。
ムーミンの子どもらしい考えと、豊かな感性が微笑ましく感じられました。
ムーミンが発する言葉がとても素敵でした。

特に印象に残った言葉は、売店を見つけた時の「まわりには、ありとあらゆる花がきれいにならんで咲いていて、
銀色の玉がついた台がありました。
その玉には、鏡のように森がすっかりうつっていますし、建物は白くて、
屋根の上に草が生えているのでした。」目に映る新しいものへの新鮮な感性が表現されていて、
言葉を切り取って飾っておきたい気持ちになりました。

ムーミンの目線で、見慣れた自分の身の回りの生活を見てみたくなります。
きっと鮮やかで驚くような表現になるはずです。
また登場人物が、みな個性が豊かでかわいくて、愛着が湧きます。
挿し絵も世界観を愉快に彩っていて楽しく拝見しました。神奈川県在住20代

ムーミン谷の彗星はアニメ映画で観たことはあったのですが、
本を読むのは初めてだったので、
懐かしさを感じたり違いを楽しんだりしながら読めました。

私がムーミンの世界観で好きだなぁと感じるところは、
みんな互いを思いやりながらも自分の考えや意見をはっきりもっているところです。
他人への想いと自分を大切にすることのバランスが絶妙であると改めて感じました。

作中、スナフキンの言葉にはっとさせられる部分がいくつかありました。
「自分できれいだと思うものはなんでもぼくのもの。」
「持ち物を増やすというのは、ほんとうにおそろしいことですね。」
スナフキンが物を持たなくても豊かであるのがとても伝わってくる言葉です。
逆に自分自身は物を持つこと、何かを写真に残すことで「これでもう大丈夫。」
と安心して、その物や写真のことをいつしか忘れてしまっているのではないかと思いました。
スナフキンのように、心で捉えてしまっておく。
というのも大切なのかもしれないと感じました。

作中では、彗星が自分たちの身に迫り続けている恐ろしい状況の中話が進んでいきますが、
恐ろしさを忘れることなく、でも恐ろしさに飲まれることもなく、
ムーミン達が旅を続けているのが印象的でした。
そして彗星を悪とは捉えず、「ひとりぼっちで寂しい奴。」としていたことも。
生活の中で、様々な悩みや困難を抱えることがあるかもしれませんが、
それらと上手に付き合っていきながら、飲まれることなく前に進んでいけるようにしたいと、
ムーミン達の姿から学びました。千葉県在住20代ムーミン投稿画像7

ムーミン谷に迫りくる彗星から逃げる、シリアスな展開の中でも、
揺るがないムーミン達の物に対する価値観にとても魅力を感じました。

物を持つ時、気に入った!自分はこれが好きだ!といった感覚が
大人になるにつれ鈍感になってきていることを実感しました。
幼い頃は、自分の「好き」を疑わず宝物があったけれど、
大人になり人の持ち物と比べて、人の目を気にして、
自分が好きな物よりも人のオススメを信じて物を選ぶようになってしまっているように感じます。
そんなことを繰り返す内に「好き」の感覚が鈍り、
気付けば好きじゃない物で溢れている生活の中にいるような気がしていて。

物を持つことをもっと大切にしたいと思います。
自分のときめきを信じて、お気に入りだけを持っていたいと。
少しのお気に入りの物達と大切な人、
それだけで十分なんだなあと感じました。三重県在住30代

新版は初めて読みました。
ムーミン原作小説には不思議がたくさん存在しています。
まずフィンランドの習慣の不思議さ。
それからトーべ・ヤンソンの発想の不思議さ。
更に、50年以上前に翻訳された当時ならではの日本語の不思議さ。
新版では言い回しが現代風に書き換えられているので、とにかく読みやすくなっています。
もちろん当時の翻訳も雰囲気があって楽しいのですが、新版は、より物語がすっと入ってくる感覚で読めました。

「ムーミン谷の彗星」はまるで少年漫画のようなムーミンと仲間たちの冒険譚です。
出会い、別れ、そして恐ろしい怪物やドキドキハラハラするダンジョン。
スナフキンやスノークのおじょうさんとの初めての出会いも「ムーミン谷の彗星」で読めるので、
ファーストムーミンにもピッタリですね。
どことなく仄暗いところのある魅力的な世界観と、
大人にこそ刺さる人物の細やかな心理描写が大好きです。

装丁や紙質もムーミン谷の雰囲気にぴったりで、
いつまでも手元に置きたい宝物のような本になりました。東京都在住20代

小説なのに読み始めるとあら不思議、
一瞬にして色鮮やかで生き生きした彼らムーミンが住む世界に入り込んでいました。

ファンタジーの生き物たちが話す言葉や考え方はその見た目や存在とは対照的に、驚くほど現実的で、
ピュアであるがゆえに時に毒づいたりするけれど、
その何気ない一言は、
喜怒哀楽を幼少期に置き忘れてきた私たちに懐かしさを覚えさせてくれます。

哲学的ですって?それはそうかもしれません。
何故なら彼らはいつも私たちにとって自分を写し出す鏡のような存在なのですもの。
クスクス笑ってドキドキハラハラしてキュンキュンできてしまえる贅沢な1冊です。
手元に置いて自分の好きな台詞やシーンに付箋を貼って時々読み返すのをお勧めします。兵庫県在住40代

緊急事態宣言中ということもあり、どこにも行けず、
大学のオンライン授業に取り組むなか、ムーミン谷へ訪れることができ、とても嬉しいです。

ムーミンとスニフ、それからスナフキン、スノーク、スノークのおじょうさんらとの冒険は、
部屋にいながらもワクワク、ドキドキ、とても楽しかったです。
このような素敵な機会を頂き、ありがとうございました。東京都在住20代ムーミン投稿画像8

ムーミンの小説を初めて読みましたが、ムーミンの勇敢で優しい性格、
スニフの臆病で怖がりな性格などキャラクターの個性がとてもよく表現されていて、
読んでいるだけで情景が浮かんできました。

1章で、新しい道を発見したスニフとムーミンが、
怖い気持ちに負けずに進んでいったことで
素敵な海と洞窟を見つけてとても嬉しそうにしているシーンが印象に残りました。

新しいことに挑戦するのは誰でも不安だし、勇気が必要だけど、
一歩踏み出すことで成功を掴んだり新しい出会いが待っているよ!と
ムーミンたちが教えてくれたような気がして、とても好きです。

コロナ禍でなかなか自由にできない世の中ですが、
ムーミンの小説を読み、久々にワクワク、ドキドキを体験させてもらえて楽しかったです。
何回も読みたいと思える物語でした。
他のムーミン小説も読んでみたいと思います。神奈川県在住20代

児童書しては重い内容ですね。
カタストロフィー到来、破壊、滅亡、恐怖がファンタジーの域を超え、リアリティに迫ってくる。
登場人物は現実に立ち向かい、決して諦めない。励まされます。

いろいろ調べていく中で、著者のトーベヤンソンは、
戦争に対する憎しみで書いたということを知りました。

このシリーズと世界観が作られたのは、ヨーロッパ中で殺戮と虐殺が横行した第二次世界大戦の最中なんですよね。
第2作「ムーミン谷の彗星」は、ある種の世界破滅物語、アルマゲドン系のお話な訳ですが、発表が1946年。
世界がヒロシマ・ナガサキで原爆を知った直後なんですよね。
そういう関係性と言うか影響っていうのは、ゼッタイあるんだろうなあ、と思いました。

スナフキンやスノークのお嬢さんなどお馴染みのキャラクターが揃う。
初登場。ちょっとそれだけで感動。
全体的には迫り来る彗星への不安と重苦しい雰囲気の描写が多く、読んでいてそれほど楽しいものではない。
なんとなく、軽く読むにはテーマが重いというか、
ほのぼの感はあまりなく、「世界が終わるなかでの日常」が色濃く描かれています。

話の中で不穏さはあるんだけど、ムーミンたちがめげずに進むのがすごい。
ママのところへ帰ればなんとかなるって信じてるのがすごい。ママ強い。この絶対的な存在感。
そしてパパすごい力持ち。
スナフキンのフレーズひとつひとつが、噛み締めるくらい名言が出てきます。
真面目に、じっくり、読んで欲しい本ですね。

静岡県在住30代

ムーミン谷の彗星、早速読ませていただきました。

冒頭からムーミンとスニフのちょっとした冒険が始まり、それが徐々に大きな旅につながり、たくさんのキャラクターとの出会いを経て最終的にどうなっていくのか、ワクワクドキドキがずっと続いていて飽きることなく一気に読んでしまいました。

アニメでしかみたことがないムーミンでしたが、小説で読んで風景を想像しながら物語を追うのもとても良いですね。

ムーミン小説との出会いは旧訳。
ある年代以上だと、そういう方も多いのではないでしょうか。
かくいう私もその一人で、馴染みある言い回しや台詞が変わってしまうのを恐れて、
ずっと新訳には触れられずにいました。

ですが、いざ新訳を紐解いてみると、不安はすぐに霧消しました。
何故なら、旧訳の文章の大半はそのままに、
漢字や感嘆符の程々な増量、文節の整理、呼称の統一、馴染みの薄い単語説明の追加、
ざっくばらんな言葉遣いを柔らかく言い直す(例:「あんた」→「あなた」)。
これらの修正によって、感覚的には旧訳を読んでいるようでありながらも、
あの何度読んでもわくわくする大冒険がより分かりやすく頭に入ってきたからです。
更にヤンソンさんの素晴らしい挿絵がより大きくくっきり印刷されていることで、
特に不穏な場面の陰影がより映えています。
個人的に嬉しかったのはスニフの「げろはいちゃう」が健在なこと、
登場人物紹介でスニフの人柄について触れ直してくれたことです。

物語としては、彗星を巡る冒険の数々、
後に親友となるスナフキンが野外で焼いてくれる小さなパンケーキ、
スノークのおじょうさんとの甘酸っぱい初恋、
体は丸っこいのに性格は四角四面なスノーク、
だいぶ面倒くさい隣人じゃこうねずみ、
お金がないムーミン達のためにある提案をしてくれた売店のおばあさん、
小悪魔的なねこ、迫り来る彗星の心境をも慮る思いやりと、
好きな点を挙げればきりがありません。
しかし、今回読み返してふしぎと心に残ったのはスニフでした。

「ぼくは小さい」。
事あるごとに呟かれるこの台詞のとおり、
スニフはしょっちゅう怯えたり不平を漏らしたり物欲に弱かったり
ぎゃんぎゃん喚いたりげろをはきそうになったりします。
それらの言動は確かに一般的なヒーロー像とは程遠いものの、
序盤から丁寧に書かれるスニフの劣等感や疎外感は私自身にも覚えがあるものです。
相手に悪気はなさそうではあるものの、
どうにも軽んじられているように思えて仕方がない。
そんな人間関係のリアルな悩みが、実感を伴ってより胸に迫ります。

弱音を吐きながらもなんだかんだでスニフは沢山の危機を乗り越え、
意外な交渉力の高さを発揮して彗星の衝突時刻という貴重な情報を得てムーミン谷へ凱旋しました。
にも関わらず、誰もスニフを気にしてくれないし、
大切に思っている子ネコはちっとも懐かないし、
ケーキに書かれた名前は友達の分だけ。
溜まりに溜まった鬱憤が「笑われた」という勘違いによって遂に爆発する場面は本当に痛々しく、
よしよしとスニフの背中をさすりたくなります。
ですが、スニフには危険を顧みず迎えに来てくれたムーミンが、
その背中を押すムーミンママが、
最後はそっと寄り添うようになってくれた子ネコがいました。
特に「ふたりは会うことができましたが、『やあ』の一言さえいわずに、
けんめいに走りました」の一文は、
刻一刻と彗星が迫る中でもムーミンとスニフをしっかりと結んでいた友情を台詞なしに描き出していて、
何度読んでも胸と目頭が熱くなります。
今作のスニフのように誰もが抱えうる悩みを時に鋭く、
時に温かく描き出すヤンソンさんの眼差しは、
私がムーミン童話に惹かれる理由の一つです。

少々スニフに共感しすぎたきらいもありますが、
もちろんムーミンが仲間達と繰り広げる大冒険はいつ読んでも面白い!
新たな装いで再びムーミン達との心踊る旅をさせてくださったこの企画と新訳に、
改めて感謝致します。
幼い我が子もいつか手に取れるように、
頂いたご本は私の図書館へ大切に納めさせていただきます。
ありがとうございました!

東京都在住30代ムーミン投稿画像9